2016年01月20日

アンチョビの発酵する仕組み

前回のブログでは、アンチョビの作り方を書きました。
今回はアンチョビの仕組みについて書いてみたいと思います。

レシピだけ知っていれば十分!と思う方もいるかと思いますが、レシピを真似るだけだと、少しレシピと違う状況が起こると分からなくなってしまうこともあるかと思うのです。

特に、発酵食品は、その日のうちに完成するわけではないので、仕組みを知っていると、待っている間どうしたら良いのか?容器はどうしよう?保存場所は?という不安が少なくなり、より安心して仕込むことが出来ると思います。

***********************************

その1、何を活用した発酵食品なの?
発酵食品といえば、チーズにヨーグルト、漬物、パンなど、微生物を活用した食べ物のことをさしていますが、アンチョビも微生物を活用した発酵食品なのでしょうか?

答えはNOです('ω')

確かに、塩に強い微生物の働きも少しはあるかもしれませんが、主な発酵は、鰯の内臓に本来備わっている自己消化という仕組みを利用した発酵食品なのだそうです。

微生物を使っていないのなら、発酵食品と呼べないんじゃない?と思う方も多いと思うのですが、食品の世界では、こういった、生物のもつ機能を利用して旨味を引き出した食べ物のことも発酵食品と呼んでいます

勿論、酵素は私達の体の中にもあるので、もし死んだら、自己消化して、長い月日を辿ってドロドロになって骨だけになっていくはずです。

そして、こんなことを考えていた時に思い出したのがこの本↓

死―宮崎学写真集




もしかしたら、見たことがある人もいるかもしれませんね。
カナッペは、昔、本屋さんで立ち読みして引き込まれてしまいました。

ある一頭の動物の死体をひたすら定点観測したもので、この仕組みの中にも、自己消化が行われているなぁと思い出したのです。生きている時には食べ物を消化する為に、死んだら自分自身を消そうとする働きをする。生き物の体の仕組みって、凄いなぁ。。。

と、ちょっと脱線しましたが、つまりアンチョビは酵素による発酵ということなのです。

ん?酵素による発酵って・・・?
酵素は、大きな分子を小さな分子に切る役割をするんです。
ほら、ご飯を噛んでいると、甘くなるでしょ?

あれは、唾液に含まれている消化酵素によって、デンプンを糖という細かい分子に分解する役割をしているのですが、それと同じで、鰯自体のタンパクアミノ酸等の小さい分子に分解する。という仕組みです。

アンチョビのレシピで、あまりゴシゴシと洗わない。と明記したのはこの為なのです。
消化酵素は内臓に多くありますからね。
また、アンチョビの他にも、イカの塩辛なんかも、内臓に身を絡めることで自己消化をさせるので、これも発酵食品と呼ばれています。


その2、何故アンチョビは腐らないの?
微生物を利用した発酵食品の腐敗しない理由は分かるのですが、自己消化によって発酵させたものが腐敗しない。というのは、一体どういう仕組みなのでしょうか?

これには、塩を利用した浸透圧の作用によるものなのだそうです。

どういうものかといいますと、簡単にいうと、生物の細胞膜には、外側と内側の濃度を一定に保とうとする力が働く。という作用のことで、それを活用してアンチョビは作られているのです。

浸透圧1.jpg

まず、鰯の回りに塩をふると、鰯の外側の方が濃度は濃くなります。
すると、濃度を一定に保とうとするので、鰯の中の水分が外へ出てきます。
こうして出てきたものが、ナンプラー、魚醤と呼ばれているのですが、そうやって出てきた液体(魚醤)に鰯が浸かっていることで、何故腐敗しにくいのでしょうか?

もし、この液体の中に雑菌が侵入してきたらどういうことになるでしょうか?
菌の体も、鰯と同じように、中の水分を外側へ出そうという力が働きます。
しかし、体内の水分を出された菌は、死んでしまうか、極端に増殖しにくくなることが考えられます。

浸透圧2.jpg

こうして、腐らせることなく旨味を作り出すことで、アンチョビが出来あがるのだそうです(^^)


***********************************

冬のこの時期、発酵食品を仕込むのにはとても良い時期です。
是非、のんびり時間をかけて作るアンチョビ作り、試してみてくださいね。


では(^^)/





posted by カナッペ at 00:53| Comment(0) | 保存食 発酵食 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。